役員と会社間の取引
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役員と会社とのお金の貸し借りがある場合の注意点は何ですか?
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役員貸付金の場合は利息の計上、役員借入金の場合は資金出所が問題になります。
役員貸付金は利息計上が必須
同族オーナー企業では、役員と会社との間でお金の貸し借りが行われているケースをよく見かけます。単にお金の貸し借りをしているだけなら、特に問題はないように思われるかもしれませんが、税務署はこういう取引にも目を光らせています。
まず、会社から役員にお金を貸している場合、必ず問題になるのが 利息計上の有無です。他人にお金を貸す場合には、無利息で貸すということはまずありえません。従って、役員に貸す場合にも妥当な利息を設定しなければなりません。無利息で貸していた場合には、税務署が認定した利息で受取利息を計上しなければならなくなります。
認定利息は法律で、「4%+前年11月末日の公定歩合」と決められており、平成21年現在では4.5%になっています。ただし、自主的に利息計上する場合には、この利率にする必要はありません。
役員と会社間の取引は、時価が原則
お金の貸し借り以外にも、役員と会社間で取引が行われることがあります。例えば、家賃の支払や固定資産の売買などです。これらの取引を行う場合には、必ず 時価で行っているかどうかが確認されます。時価と著しくかけ離れた価格で取引しているような場合には、経費計上が否認される恐れがあります。この場合、特に役員賞与と認定されれば、経費性が否認されるだけではなく、源泉所得税が課税され、消費税も否認されてしまいます。
こういった取引がある場合には、必ず時価で取引価格を設定するようにし、その取引価格を設定した根拠を税務署にも説明できるようにしておいて下さい。
役員借入金は、資金出所を明確に
では、逆に会社が役員からお金を借りている場合には、どうでしょうか。この場合には、役員がどこからその資金を調達してきたかが問題になることがあります。
例えば、会社の資金繰りが悪いため、役員給与の一部を会社に貸し付けている、というような場合は何も問題ありませんが、悪質なケースでは、売上から除外したお金を会社に環流させている、といった場合もあります。そのようなあらぬ疑いをかけられないためにも、 資金出所を説明できるようにしておいて下さい。
また、会社から役員に対して支払利息を計上している場合には、その役員からすればそれは利息収入になりますから、この場合、雑所得として確定申告をしなければなりません。