赤字会社の調査ポイント
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赤字会社でも税務調査はあるのですか?
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赤字会社でも税務調査により黒字転換することもあり、また消費税や源泉所得税、印紙税は所得に関係なく課税されるため、調査は行われます。
消費税は課税区分のミスに注意
税務調査は赤字法人に対しても約3割の割合で実施されています。
その理由の1つとして、赤字法人であっても、消費税や源泉所得税、印紙税の修正があれば、追加税額が発生するということが挙げられます。
消費税については、原則課税と簡易課税がありますが、 簡易課税については計算が簡単ですから、それほど調査に時間をかけられることもないでしょう。とはいっても、簡易課税の場合、業種区分の判断が税額を左右しますから、その判断が間違っていれば多額の修正にもなりかねません。特に判断の難しいような業務内容の場合には、慎重に判断するようにして下さい。また複数業種の特例を利用している場合には、業種ごとに売上を区分できているかどうかが確認されます。
原則課税 については、課税区分の判断がほぼ全てです。少なくとも金額の大きい項目では、課税区分の判断を間違えないようにしましょう。
<課税対象にならない取引の一例>
●海外旅費、海外出張日当
●マネキン(販売員)代
●香典、見舞金、商品券の贈答費用
●社宅家賃
●クレジット加盟店手数料
●一定の同業者団体会費
ミスしやすいのは、固定資産の売却があったときです。例えば、車の下取りがあったような場合には、消費税の処理を行うこと自体を忘れている場合も多々ありますので、注意して下さい。
また、非課税売上がある場合で課税売上割合が95%未満である場合には、 個別対応方式と 一括比例配分方式 のいずれか有利な方を選択することになります。個別対応方式を選択した場合には、課税売上にのみ要する課税仕入、非課税売上にのみ要する課税仕入、その両方に要する課税仕入の3つに区分しなければなりません。調査ではこれらの区分を確認されることもありますので、きちんと説明できるようにしておいて下さい。
「請負」と「雇用」の違いには要注意
源泉所得税も、消費税と同様、所得に関係なく支払わなければならない税金です。
まず従業員については、扶養控除等申告書を調査時に確認されることがありますので、調査前には必ず用意するようにして下さい。これがないと、給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の甲欄での徴収が認められなくなります。また、マネキンさんを利用されている会社は、マネキンさんへの支払いも源泉所得税の課税対象になりますので、注意して下さい。
その他、源泉所得税においてよく問題になるのは、「請負」と「雇用」の違いです。これは消費税の問題も絡んできます。 「請負」 なら消費税は課税取引で源泉所得税は対象外、 「雇用」なら消費税は不課税取引で源泉所得税の対象、となり処理が正反対となります。消費税と源泉所得税だけを見ると、「請負」の方が有利になりますが、根拠もなく安易に「請負」として外注費として処理していたとしても、実態が「雇用」であれば、消費税と源泉所得税の両方を否認され、ダブルパンチを食らうことになります。
バカにできない印紙税
もう1つ、所得に関係なく課税される税金があります。それは印紙税です。
印紙税は文書の種類により、貼付すべき印紙額が決められていますが、この印紙を貼っていなかった場合には、本来の印紙税の3倍又は1.1倍の過怠税が課税されます。これは調査時に見つかってしまえば、争う余地はありません。事前に契約書関係には目を通し、印紙が貼られているかどうかを確認しておいて下さい。