税務署からの「資料せん」って、いったい何?
●「資料せん」とは?
税務署から、突然「売上、仕入、費用及びリベート等に関する資料の提出方の依頼について」というお便りが封書で届くことがある。丁寧な文章だが、何月何日までに書類を作成して返信用封筒で送ってほしいとの要望が書かれている。
これは「一般取引資料せん(単に「資料せん」と呼ばれることが多い)」というもので、税務署が適正・公平な課税の実現のため、法人や個人事業者に協力依頼する形式を採って情報収集を行っているのである。
資料せんには、自社の半年における売上、仕入、外注費、リベート、仲介手数料、接待交際費、不動産の賃借料、建築・工事費、運送費・傭車料、印刷費、修繕費、広告宣伝費、その他の経費のうち、一定の金額以上のものを記載する。売上と仕入の場合は、一回の決済金額が10万円以上であるか又は期間中の取引金額が30万円以上、接待交際費の場合は期間中の取引金額が5万円以上、支払リベートの場合は5万円以上、その他は10万円以上と決まっている。この他にも、取引先の住所、氏名、取引年月日、決済方法、支払先の銀行口座、取引内容など記載する
税務署サイドは、これらの資料せんが税務調査での裏付けとなる。例えば、外注費なら、外注先の先方が売上除外しているかどうかを確認するために活用されることになる。
●エクセル入力で負担を軽減
一昔前は、資料せん用紙にボールペンで記載していたが、今では国税庁ホームページから、EXCEL形式のものをダウンロードして作成できるようになり、随分と便利になった。
また、書面での提出に代えて、パソコンで作成したデータ(EXCEL形式)を光ディスク等に保存の上、提出することができるため、作成時の事務負担を軽減できるようになった(申請時の事前手続きは不要)。
取引先に迷惑がかかるかもしれないから提出したくないと思われかもしれないが、依頼文面の最後には「この依頼は、皆様のご理解とご協力により任意の提出をお願いするものです。」と書かれている。提出しないばかりに税務署からあらぬ疑いをかけられないよう、できる限り協力した方が無難であろう。
2017.8.7執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。