税務調査の連絡を税理士のみにしたい方に朗報!
■現行における税務調査の事前通知
平成23年12月2日に国税通則法等が改正され、調査手続きの透明性と納税者の予見可能性を高める等の観点から、税務調査手続きについて法律上明確化するなどの措置が講じられました。
その際、納税者に影響がある「事前通知」について次のように改正されました。
「実地の調査を行う場合には、原則としてあらかじめ電話等により、法令上の事前通知であることを明示した上で、法定化された事前通知事項を納税義務者と税務代理人(=税理士)の双方に通知します。」
事前通知とは、「税務調査を実施する」という電話連絡のことです。また、顧問税理士がいる納税者の場合、確定申告書を提出する際に「税務代理権限証書」を添付しているため、納税者本人と顧問税理士の双方に事前通知が行われるシステムになっています。
つまり、現在は税務調査の事前通知は「納税者」と「税理士」の双方に行われています。
ただし、全ての納税者に対して事前通知があるわけではありません。
申告内容・過去の調査結果・事業内容等から事前通知をすると、(1)違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、(2)その他、調査の適正な遂行に支障をきたすおそれがあると判断された場合には、「アポなしの税務調査」もあり得ます。
過去に何回も税務調査を経験されているベテラン経営者でも、税務署からの電話には少なからずや驚きがあることと思われますが、ましてや相続税の申告のみを税理士に依頼したサラリーマンの方などは、動揺に近いものもあるかもしれません。
そこで、納税者にとって都合の良い以下のような改正がなされました。
事前通知は税理士のみが可能に
平成26年度税制改正において、(1)納税者に「税務代理権限証書」を提出している税理士がいる場合で、(3)提出された「税務代理権限証書」に納税者への事前通知は税理士に対して行われることについて同意する旨(「事前通知に関する同意」)の記載があるときには、納税者への事前通知は、税理士に対して行えなば足りることとされました。
この改正は、平成26年7月1日以後に行う事前通知から原則適用されますが、平成26年6月30日以前であってもその旨記載すればOKとなっているため、平成26年3月決算法人でも提出することが可能となっています。
ちなみに弊社ではこの3月決算法人様から既に対応しております。
過去に相続税の申告をされた納税者等で、税務署から直接電話がくるのは避けたいと思われる方についても、税務代理権限証書を再提出することが可能ですので、税理士にご相談されるといいでしょう。
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
2014.5.26執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。