税務調査の現況
-
最近の税務調査の実施状況を教えて下さい。
-
平成19事務年度においては、法人全体の約5%について実地調査が行われ、そのうち約75%で法人税の申告漏れが指摘されています。
調査された法人のうち、4件に3件は申告漏れあり
平成20年10月に、国税庁から平成19事務年度(平成19年7月1日~平成20年6月30日)における法人税の課税事績が発表されました。
それによると、平成20年6月末時点での法人数は約300万法人で、そのうち平成19事務年度中に調査を実施した法人が約14.7万件あったそうです。計算してみると、 法人数全体に対する割合は約5%になります。その中で、調査により申告漏れが発覚した件数は約10.9万件、 約4件に3件は申告漏れを指摘されたという勘定になります。
そのうち不正発見割合の高い業種については、上位10業種が以下のように発表されています。
1位:バー、クラブ
2位:パチンコ
3位:再生資源卸売
4位:廃棄物処理
5位:構築用金属製品製造
6位:自動車修理
7位:職別土木建築工事
8位:土木工事
9位:一般土木建築工事
10位:金属打抜き・プレス加工
赤字法人への調査は約3割
また実地調査は、黒字法人だけに行われたわけではなく、赤字法人への調査も実施されています。その状況は、無所得申告法人の実地調査の状況として発表されています。この発表によると、赤字法人への税務調査は約4.6万件行われています。法人全体の調査数が14.7万件ですから、そのうち 約3割は赤字法人への調査 だったことになります。
赤字法人は金額の大小はあれ、繰越欠損金を抱えていますので、申告漏れがあったとしても追加税額が出るとは限りませんが、このデータを見ると、赤字法人への調査約4.6万件のうち、約0.7万件は申告漏れの指摘により赤字から黒字へ転換しています。割合で言うと、約6件に1件は税務調査によって黒字転換したことになります。
法人の税務調査は、消費税の課税事業者への調査が約95%
税務調査は、法人税だけ行われるわけではありません。消費税の課税事業者については、当然消費税についても調査が行われます。消費税の調査は約13.9万件行われています。消費税のみの調査がほぼないことを考えると、法人税の調査件数は約14.7万件ですから、そのうち 約95%は消費税の課税事業者への調査 であったと推測することができます。
消費税の調査13.9万件のうち、申告漏れを指摘された件数は7.6万件でした。調査を受けた法人のうち、約半分が何らかの形で消費税の修正を求められたことになります。