処分の理由附記
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処分の理由附記の対象が拡大されたそうですが、その内容を教えて下さい
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税務手続について国税通則法等が改正され、全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)に対する理由附記が実施されることとなりました。個人の白色申告者についても、平成26年から記帳と帳簿書類の保存が義務付けられており、理由附記の対象となりました。
処分理由の記載が必要
改正前における処分の理由附記は、所得税及び法人税の青色申告者に対する更正処分など一定の処分が対象とされていた。
改正により、理由附記の対象が国税に関する法律に基づく申請に対する拒否処分及び不利益処分全体に拡大された。
ちなみに「申請に対する拒否処分」とは、更正の請求に対して更正すべき理由がない旨の通知、青色申告承認申請却下などの処分が該当する。
また、「不利益処分」とは、更正、決定、加算税賦課決定、督促、差押えなどの処分が該当する。
では、改正により具体的にどのような違いがあるのか、いくつか例を紹介する。
1. 青色申告の承認申請を却下する場合は申請に対する拒否処分であるため、理由附記が必要(青色申告の承認の取消し通知には従前から理由附記が必要)
2. 更正の請求の全部を認めない場合や一部を認めない場合は申請に対する拒否処分であるため、理由附記が必要
3. 白色申告者に対する更正や決定にも理由附記が必要(改正前は理由附記は不要)
4. 過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税の賦課決定は不利益処分であるため、理由附記が必要(延滞税及び利子税は理由附記が必要となる処分ではないため不要)
5. 納税地指定についても、理由附記が必要
白色申告者は記帳等の義務と理由附記がセット
上記の措置は、原則として平成25年1月1日以後に行われる更正処分や賦課決定処分から対象となっている。
しかし、個人の白色申告者等に対しては経過措置があり、個人の白色申告者等のうち①平成20年~25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった人等は平成25年1月から、②それ以外の人は平成26年1月から理由附記が実施されている。
なお、平成26年1月から事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行うすべての人(所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない人も含む)について記帳と帳簿書類の保存が義務付けられている。
個人の白色申告者については、今年から義務となっているため、注意していただきたい。
2014.6.24執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。