税務調査の活用法
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今日の調査を次回に活かす!
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税務調査はとかくネガティブに捉えがちですが、「正しい経理処理を無料で指導してくれる」や「従業員の不正防止(税務調査があることによる牽制力)」などと捉えると、ポジティブな側面も多々あります。税務調査の一番の効用は、「いつか調査があるかも」という不安からくる「真面目に税金払わないとな」と思わせる後押しかもしれません。
税務調査はチェック機能
中小企業では、通常、上場企業のような内部監査や外部監査といわれる経理処理のチェック機能がありません。そのため、「間違った経理処理をそのまま継続してしまっている」や「従業員の不正」、「同族関係者での公私混同」などが行なわれていることがあります。
そのため、税務調査を自社の 経理処理のチェック機能 ととらえて、税務署が無料でその役割を担ってくれていると考えてみてはいかがでしょうか。調査に対する経営者のスタンスも少し変わってくるのかもしれません。
一方、会社経営を続けていく限りは、 税務調査が無くなることはありません 。今回の調査が終わっても、次の税務調査がいずれ必ずやって来ると考えておくべきです。
つまり、会社経営と税務調査というのは、永遠のお付合いをしていくものなのです。
そのため、 今日の調査を次回に活かす という発想がとても大切です。
【自社の経理処理を無料でチェック】
内部監査や外部監査がない中小企業では・・・
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・間違った経理処理をそのまま継続してしまっている
・従業員の不正
・同族関係者での公私混同など
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税務署が自社の経理処理を無料でチェック
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今日の調査を次回に活かすべし!
今日の調査を次回に活かす
税務調査では、修正申告等を必要とする 「指摘事項」 と今後是正していくようにという 「指導事項」 を税務署から受けることがあります。追加で支払う税金がない申告是認とされた場合でも、「指導事項」はいくつかあるというケースもあります。
指摘事項の例 としては、「調査官が現金実査をした結果、差異が生じていて、その解明の中で従業員の不正がわかり、結果、会社の経費を一部否認された」などがあります。
この場合の今後の対応としては、「不正が起こりにくい仕組みに経理を変えること」です。具体的には、「経理部で毎日現金実査を実施して上長に報告してもらう」や「出納業務をする人と帳簿付けをする人を分ける」、「帳簿はボールペン書きとする」などの内部牽制制度の構築が考えられます。
指導事項の例としては、「役員報酬が決算ごとに変更されているが、そのための取締役会議事録等の記載内容の不備及び未保存」などがあります。
この場合の今後の対応としては、「決算ごとに決算書と合わせて各種議事録を作成・押印し、決算書とともに保存する」などが考えられます。
税務署における税務調査の詳細を記した内部資料には、指導事項についてもきちんと書かれているようです。指導事項だからと安易に考えてはいけません。
次回の税務調査ではほぼ必ず確認されますので、指導事項についてもその対応をきちんと行なっていくようにしましょう。
【指摘事項と指導事項】
指摘事項 → 修正申告等を必要とし、追加税額又は欠損金の減少が生じるもの
指導事項 → 今回は修正しなくていいが、今後このようなものがあれば是正してくださいというもの
⇒指摘事項だけではなく、指導事項についても、きちんと対応していく必要がある