会話の落とし穴
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誘導尋問に注意して、雑談も調査の内であると知るべし
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当たり前ですが、調査官は税務調査が仕事です。その調査中に、たとえ社長が雑談と感じる会話があったとしても本来の雑談であることは少なく、調査官はその中から調査の糸口を探しているのです。
誘導尋問に注意
会社概況などを説明しているときに、先代が「息子に代を譲ったので、妻とのゴルフ旅行が唯一の楽しみなんですよ」と話したとします。ここでは、調査官は頷いているだけです。しかし、帳簿調査では、交際費勘定を丁寧に見るに違いありません。
というように調査官は趣味を聞いているようで、本当は何かないかと 調査の糸口を探しているのです。先方の 質問には意味があると考えて答えるようにしましょう。
また、経営者というのは一概に話好きで、会話が途切れないようにと気を使われるようですが、尋ねられていること以外を話すのは慎んでください。
雑談も調査である
お昼やお茶はどうしたらいいのかと質問を受けます。
昼食は国家公務員倫理法もあり召し上がらないことが多いですが、お茶やコーヒー程度なら大丈夫です。調査は、午前10時から午後4時ごろまで続き長丁場になりますので、気分転換にも、朝来られたとき、昼食後、午後3時ごろにお茶やコーヒー等を出すことをお勧めします。
小さい会社や個人事業などで、調査のための会議室などがない場合、長い時間、調査官と同じ部屋にいることになります。そのような場合、3時のお茶の時間などに気を許してしまいがちですが、 調査に雑談はありません。社長と調査官とのやり取りは 「すべて調査である」 と考えて言動してください。
【こんな会話は要注意】
□調査官「自宅に車はお持ちですか」
→社用車を私用で使っているため、ガソリン代の否認を受ける
□社長「若い頃はいいが、年をとると得意先とのゴルフは疲れますよ、最近は息子とが一番楽しいね」
→私用のプレ-代は役員賞与となる
□社長「私の自宅の辺りにも、おいしいお店が多いのですよ」
→領収証の住所から、私用の食事代は役員賞与となる
□社長「同業の○○会社は、儲かっているようですよ。知ってますか?」
→同業他社のうわさ話はしない。お宅はどうなのかと返される。
□調査官「社長の奥様の趣味はなんですか」
→交際費、会費関係でプライベート分がないか調べられる
□調査官「売上ですが、受注からどれぐらいで販売されますか」
→決算書に計上されている在庫高が適正かどうかを、同業他社と比較して確認される